人生において、成し遂げておきたい幾つかのこと 富士登山編 VOL.1「登りたい理由」

富士山が世界遺産登録される見通しとなり、喜ばしいなぁと思うと共に、昨年登ったことが遠い昔の出来事のように感じます。
人には誰でも「人生において、これだけはやっておきたい」と胸に秘めた思いがあるものです。私にもいくつか成し遂げておきたいことがありますが、その多くは成し遂げていないまま胸の奥深くにしまいこまれています。42歳を過ぎ、体力面の衰えを感じ始めてきました。「そろそろやっておかないとまずい…」そう思っている幾つかのことのうちのひとつが「富士登山」でした。
今回は、その話をしたいと思います。

私が成し遂げたい「富士登山」とは、詳細にわけると4つの要素があります。
1.親友らと
2.富士山に登り
3.ご来光を仰ぎ
4.抱き合ってその成果を喜ぶ

1の「親友らと」というのは厳しい道中を想定すると、登山が辛くて、同行者に迷惑をかけるだろう、ほとんど会話もないかもしれない・・・そう考えると、「人生お互い様」といえる間柄の近しい存在の人とじゃないと無理だなと思ったのです。結果的に、これは大正解だったと心から思うと共に一緒に行ってくれた親友らに大変感謝しています。達成感を共有できる喜びもさることながら、最初の想定通り、滅茶苦茶迷惑をかけたので、親友と呼べる間柄でなくては、恐らく「富士登山」を達成できなかったでしょう。それぐらい私には過酷な「富士登山」だったのです。

2の「富士山に登り」は、常に日本一を目指す事業家として、一度は必ず日本一高い場所に立ってみたい! という思いから来たものです。ちょっと大げさかもしれませんが、これは私の細胞レベルで、そういう思いに至っているといった感覚でした。

3の「ご来光を仰ぎ」は、「富士登山」の醍醐味をもっとも感じられるのは、ご来光を仰ぐときに違いないという摂理的な発想からきています。しかし今さらですが、よくよく考えてみるとご来光が見られる確率は相当低いのではないかと気がつきました。そもそも富士山が山開きをしている期間は、7月~8月までの2か月間しかありません。普通、ビジネスの世界に身を置いていれば、平日を2日間潰すことは、なかなか難しい話です。しかし山登りのド素人なので、日帰りなどは無理難題過ぎるし、同行者との日程調整もあって、行ける日程も限られてきてしまいます。そして、いざ登り始めても必ず晴れるとは限りません。山頂ともなれば天気も激変し、ご来光の時間帯が晴れている確証などは皆無に等しい・・・考えれば考えるほど、相当難易度の高い挑戦だったのです。実際、弊社の社員が前年に挑戦したときは、土砂降りの雨でご来光は見られなかったそうで、ぜひ再挑戦をしたいと言っています。

最後に付け加えられている4の「抱き合ってその成果を喜ぶ」は、青春模様が結構好きなんです! まぁ、これは性格ですね(笑)。

とまぁ、そのような感じで成し遂げておきたかったのが『富士登山』だったのです。登ろうと思い立ったのは、2012年の春先でした。四半期世紀以上の付き合いである無二の親友と20年以上の付き合いの後輩2名を誘って、4名で登頂することになりました。
いろいろとこだわりだすときりがない私は、「大安吉日のご来光」に狙いを定めました。山開き直後の7月1日に山に入り、2日の大安吉日にご来光のアタックをすることにしたのです。
言い出しっぺは私ですから、山宿の手配も自ら進んで行いました。「富士山 宿」で検索して、目についたのが「富士山ホテル」です。名前に惚れて口コミなどもまったく見ずに、すぐ予約をしました。
それから装備を揃えていきました。調べれば調べるほど、富士登山の過酷さがわかってきました。普段運動をろくにせず、体重が重く、体脂肪率も高い私は、とにかく快適に登りたいと思って様々な装備を購入。当初、出費は抑えめにしようと考えていましたが、結果的には、かなり高くついてしまいました・・・。

準備が整ってくると、期待と不安の入り混じった感情に苛まれ始めます。親友の奥さんからは「余計な事に巻き込んで・・・」と非難されながらも、それでもようやく登山当日を迎えたのでした。

思いのほか長くなったので、登山の模様は次回へと続きます。